チャイルドヘルプライン
MIEネットワーク

コンセプト

  • 子ども権利条約を基本とする
  • 子どもを権利主体としてとらえる
  • 傾聴(ありのままの子どもの気持ちを受け止める)
  • エンパワメント(子どもが本来持っている力に気づく)
  • 自己決定・自己責任の保障

チャイルドラインとは

チャイルドラインは、指示しない、指導しない。
かけてくる子どもの主体性を大切にした子どもの心を受けとめる
18才までの子ども専用電話です。

子どもに4つの約束をしています。
ヒミツはぜったい誰にももらさない
名前はいわなくたっていい
切りたくなったら切ってもいい
どんなことでもいっしょに考える

問題の解決を目的とせず、子どもの気持ちを聴くことを大切にします。子どもが安心して話ができるように、名前などは聞きません。子どもの話に耳を傾け、ありのままの子どもの気持ちを受け止めます。
子どもはありのままを受容されることで、自信や自己肯定感を高め、本来持っている自分の力に気づき、エンパワメントします。子ども自身の意思によって改善の道筋を考えていけるよう子どもが自己決定することを保障します。

こどもほっとダイヤルとは

こどもほっとダイヤルは、三重県内の18歳未満の子どもを対象としています。子どもを問題解決の主体として捉え、子どもの気持ちや感情に耳を傾け、ありのままを受け止めることで自信や自己肯定感を高めます。また、問題をサポートし、子ども自身の意思によって改善の道筋を考えていくことにより、子どもの最善の利益を保障します。子どもの意思または必要な場合は、特定機関につなぐことがあります。

こどもほっとダイヤルは、国連子どもの権利条約の理念および三重県子ども条例の基本理念(前文及び第3条)に基づき、同条例第12条で定めた「相談への対応」を具現化した子ども専用の相談窓口として、三重県により2012年2月に設置されました。チャイルドヘルプラインMIEネットワークは、その理念と長年に渡る実績が評価され、こどもほっとダイヤルの実施を三重県より受託しています。

チャイルドラインの歴史
(世界・日本・三重)

子どもの権利条約の理念を実現していくためには、暴力や虐待、養育放棄などを受けた子どもたちのために匿名のヘルプライン等の開設を国が支援していくことが必要です。子どものためのヘルプラインは、世界では、1970年頃から北欧で始まりました。チャイルドラインという名称は、イギリスが元で1986年BBCテレビが虐待防止の特別番組でホットラインを開設し電話が殺到したことから設立されました。現在では、ほとんどの国に存在しCHI(チャイルド・ヘルプライン・インターナショナル)には130ヶ国以上が参加しています。

日本では、1998年はじめて東京のせたがやチャイルドラインが開設され、2013年6月現在、44都道府県76組織に広がっています。

三重県では、民間で特定非営利活動法人三重県子どもNPOサポートセンターが1998年頃より模索をし始め、カナダ、アメリカ、イギリス等への視察、MIEチャイルドラインセンターの準備会・設立を経て2002年9月より週1回の常設実施を始めました。このように当初は民間のみで始めたチャイルドラインですが、2003年9月のNPOからの協働事業提案「行政と民間(NPO)協働でつくる子どもの心を受け止める24時間フリーダイヤル相談電話設立に向けての段階的アプローチ」を三重県に対してMIEチャイルドラインセンターが提案し採択されたことで、本格的に行政とNPOとの協働事業「チャイルドライン24」(現在は、チャイルドラインMIE)が始まりました。2005、2006年度の2カ年にわたる三重県からの委託事業(単なる委託契約ではなくパートナーシップ的契約、全資金の内約半分を公的資金で負担)が終了した後も、子ども虐待防止や協働のテーブル、子どもの権利条例づくり、子ども支援ネットワークづくり、チャイルドヘルプライン「こどもほっとダイヤル」設置、社会的養護の取り組みと行政と民間でつくる新しい形の協働事業、施策提言へと継続、発展させています。

チャイルドラインの意義

社会のありようが大きく変わる中、20世紀後半から多くの国で子どもを支える社会システムがつくられてきています。日本においても高度成長時代以降、子どもが育つ環境は大きく様変わりしました。暮らしは豊かでも子どもが育つ身近な単位である家族のあり方が変化し、地域社会が崩壊、子どもたちは受験等の過度の競争にさらされ、豊かな人間関係や体験の中で全人的(知・情・意のバランスの取れた発達等)に育つことができなくなりました。

さらに近年では、子どもを受け止める大人自身が、働き方の変化、ライフスタイルの変化により人と人との関わり合いをなくし、無縁死が全国で3万人を超えるなど、無縁社会へと突き進んでいます。そんな中、子どもたちは常に周りに合わせて緊張や不安の中で生きています。自分を好きでいられる、ホッとできる居場所をなくしています。人として自分の能力を活かし生きていく上で全ての土台である自己肯定感、自尊感情(自分のことが好き 自分を大切にされていると思う 社会の中で価値ある存在と思える)が諸外国と競べて著しく低いことが地域でも教育現場でも大きく叫ばれるようになってきました。

2010年6月20日に出された第3回政府報告審査後の国連子どもの権利委員会の最終見解においても、「驚くべき数の子どもが情緒的幸福度の低さを訴えている」という新しい困難を提起し、その決定的要因が、子どもと親及び子どもと教師との関係の貧困さにあると指摘しています。

こうした日本社会に生きる子どもたちへの子ども支援を進める上で、子どもをめぐる重大な問題である子どもの自己肯定感、自尊感情を高めていく事が重要です。

チャイルドラインは、従来の電話相談のように問題の解決を目的とせず、子どもたちの気持ちに寄り添い傾聴します。特に、存在否定や年齢に応じた発達の面からの権利を侵害されることで自らの内なる力を発揮できなかった子どもたちは、主体を大切にされありのままを受容されることによってエンパワメントし、自ら問題に立ち向かっていきます。チャイルドラインは子どもたちの心の居場所であり、権利保障の場です。